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心が動いた日

一枚の写真から

始まりは一枚の写真からでした。

 

わごいちから西へ50メートルほど歩いたところにそのお店はありました。令和元年12月27日、43年の歴史に幕を下ろされた「カフェ・ド・ヴィブ」。

 

わごいちが南船場に移転してこの7年間、時折院長先生がコーヒーを飲みながらくつろぐ場所でした。今月半ば、たまたまいつもと違う席からの景色に目を奪われた院長先生、思わず撮った写真があまりにすごかったのでマスターに見せたことから、建物の取り壊しが決まった事実を知ることになりました。

 

 

カフェ・ド・ヴィブ
カフェ・ド・ヴィブ

惜しみたい

煉瓦職人さんによって積まれた一面のフランス積み煉瓦、釘が一本も使われていないという椅子、調度品もシャンデリアも、マスターのこだわりです。重いドアの向こうには、まるで昔のヨーロッパの教会のような異世界が広がります。


「まだ(閉店のことは)誰にも言ってないんだけどね。」というマスター、


「はじめから決まってたことだから。なんの未練もない。」


きっとマスターのその言葉に嘘はないのでしょう。だからこそ、なのでしょうか。院長先生はこの場を皆で楽しく惜しみたい、ただその一心だったように思います。



カフェ・ド・ヴィブ
カフェ・ド・ヴィブ

巡り合わせ

院長先生とヴィブのマスターは、特に親しくお話しする関係ではなかったそうです。

 

それなのに取り壊しの話を聞いた院長先生はすぐシンガーであるわごいちの女将さんに相談し、majica(マジカ)のjazzライブ開催を決めてしまいました。ちょうど29日の夜だけ、ヴィブさん、ユニットメンバー、そして私たちわごいちメンバーの予定が奇跡的に組めたのです。

 

誰もが想像し得なかった展開です。わずか10日ばかりの準備期間で、晴れて29日当日を迎えることができたのも、何かの巡り合わせでしょうか。

 

まるで何かに仕向けられたような、いえいえ導かれたかのようでした。

 

 

マスターが入れてくれるコーヒーと共にライブスタート
マスターが入れてくれるコーヒーと共にライブスタート

心が動く

個人的感想から言うと、すごかったんです。すごく感動したんです。

 

これまでmajicaのライブは何度も見させていただいてます。でも下準備もほぼない出たとこ勝負の今回のライブ。途中、大袈裟でなく涙がこぼれるほど強く心が揺さぶられました。

 

 

majica jazzライブ@ヴィブ
majica jazzライブ@ヴィブ

涙の理由は自分でもよく説明ができません。感動した、本当にただそれだけ。どうしようもなく心が動いて、気持ちよくて楽しくなったんです。

 

 

気合いが入ったとライブ後にお話しされました
気合いが入ったとライブ後にお話しされました
ライブを一緒に楽しむマスター
ライブを一緒に楽しむマスター

アルバムの一頁

本当はささやかな身内だけのライブの予定でしたが、当日は女将さんの生徒さんご家族ご友人やヴィブのご近所さんや常連さんが何人もいらっしゃって、店内は熱気に溢れました。予定を大変更して急遽のしっかりjazzライブになりました。

 

最後にはマスターやヴィブのお客さんの飛び入り参加があったり、とても賑やかで親しみ深いライブになりました。

 

 

マスターと親友の飛び入り熱唱!!加山雄三さんの「お嫁においで」
マスターと親友の飛び入り熱唱!!加山雄三さんの「お嫁においで」
私たちも自然と体が動きます
私たちも自然と体が動きます

マスターは75歳にして初めて人前で歌を歌ったそうです。普段お店ではほとんどしゃべらず、お話はママさんにお任せのマスター、これまで私も何度もお店に伺ってますが、マスターのあんな笑顔を見たのも初めてです。



左から、マスター、マスターのご親友、ママさん
左から、マスター、マスターのご親友、ママさん
マスターとママさんが最後にご挨拶
マスターとママさんが最後にご挨拶

人の力

ベタなことを言うと、空間が一つになったようでした。場の力というものを感じます。43年の重み。だけど、場の力と言いたくない私もいます。場は人が作るものなんだと、強く感じたからです。

 

想いと行動と思い合う気持ち。

 

他人事が自分事になり、自分事が他人と共に混ざって溶け合うような・・・もう何が何だか分からないけれど、ただあの場にいた人は、皆充たされた気持ちになったんじゃないかと思います。

 

 

常連さん達と
常連さん達と

vive

vive (ヴィブ)は「活きる」という意味だそうです。コーヒーを飲みに来るお客さんを活かす場でありたいという想いでつけられたそうです。この場を見納めた私たちも活き活きと活かし合う人生を行きたいと思います。

 

とても不思議な年末でした。来年もまた皆さんのご多幸を祈ります。

 

 

いつもの場所で、ちょっと休憩中のマスターとママさん
いつもの場所で、ちょっと休憩中のマスターとママさん
カフェ・ドviveヴィブ
カフェ・ドviveヴィブ





井上紙鳶


写真提供 彼方@CanTanStudio