はるばる名古屋から
Kさんは、毎回新幹線に乗って名古屋からはるばるわごいちへいらっしゃいます。
「どうぞよろしくお願いいたします。」そうしてご挨拶をし、Kさんの今年最初の施術を始めました。
ふとカルテに目をやると、お付き合いも5年になっていました。「もう、そんなになるんですね。」と言葉を交わします。
「なかなか頑固で(参尽先生の)言うこと聞ききませんけれどね。」とおっしゃるKさん。
それでも通い続けるのはなぜなのか。会員さんそれぞれの「大切に思っているもの」はなんだろう・・・と。
5年経った今、改めてKさんにその理由をお聞きしました。

きっかけは旦那さまの言葉
「私にとって特別な時間なんですよね…。」とKさん。そしてこう続けます。
「仕事とか日常からちょっと離れて、整理ができるような…そんな場所な気がします。」と。通院当初はわざわざ大阪に出てきたからと、ご飯を食べたり買い物をしたりすることもあったそうですが、今はわごいちにだけ来てすぐ帰るということも多いそうです。
「ここでの時間」を特別にしてくださっていると改めてお伺いすると、身が引き締まります。
またわごいちを知ったきっかけはご主人であったそうです。「その頃(5年前)は体調が絶不調で毎朝“ゲーゲー‼”言って吐きそうになってました。でも何も出ないんですけれど。それが聞こえてくるから心配だったみたいで、こんなところあるよと主人に言われました。」とKさん。
今はその頃の症状も全く無くなったとおっしゃいます。
そう話してくださるKさん、いつもと少し様子が違うような…。でも、それが何なのかはわかりません。
するとポツリと「あの、実は先月父が亡くなりまして…」と、おっしゃいました。
半年ほど前に、お父様の調子があまりよくないこと聞いていたことはありましたが、それから状態は良くはなりはしないけれど落ち着いているようでした。
ご自身が思っていたよりも急だったお父様のこと。
急な別れに対しての気持ちの整理もついていないようでしたが、同時に生前からのお父様への感情が交錯し、より感情が不安定になっているようにも感じました。
この5年間続けてきたいつものようにハラを揉んでいる最中の、Kさんから聞くお父様の話。
「特別な場所」と言ってくださったわごいちで、閉じた瞳から流れる涙がここでしか出せないものであったなら、それはKさんがわごいちに通い続けられている理由の一端ではないかと感じました。
何年付き合っても人には解らないことが沢山あります。
それでも皆さんそれぞれの「大切に思っているもの」がここにあると感じていただけるよう、スタッフ一同精進していきたいと思います。
仕事上がりにそんなKさんのことを院長先生、紙鳶さんに話しながら、お贈りくださった「登り鮎」を、美味しくいただきました。
有難うございました。

池田 参尽

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