腎臓が痛い?
「腎臓が痛い」
そう言ってわごいちに施術を受けに来る人は滅多にいません。「糖尿病性腎臓病」の人や病院の検査で腎臓が悪いと言われた人、腎結石の人などは多くいますが、ピンポイントで腎臓に痛みを感じている人は本当に少ないです。
わごいちで腎臓を触られた人は、皆さん一様に「痛い」と顔をしかめられます。悪くなければ痛くはありません。が、痛みを感じる人、それも強烈な痛みを感じる人は結構多いです。
つまり、自覚がなくても、数値に出ていなくても、慢性的に腎臓が悪い人がこの世にどれだけいるだろうか、そういうレベルの話なのです。がしかし、腎臓で悩んでいる人が少ないのも事実です。
なぜなら痛くないから。痛くないところにわざわざ不安を感じるって、難しいです。
『疲れをとりたきゃ腎臓をもみなさい』
本屋さんで目に入った本がありました。
『疲れをとりたきゃ腎臓をもみなさい』
すごく売れているようです。世の人が腎臓に関心を持ってくれるのは嬉しいです。

タイトルに惹かれて買いましたが、「うーん、そんな簡単な臓器じゃないのになぁ。」と言いたくなりました。
弱った腎臓が元気になれば、体のどんな不調もすっかりよくなる。弱った腎臓を元気にする、いつでも簡単にできるセルフマッサージを分かりやすく教えてくれる親切な本です。
実は私も腎臓の悪い一人です。
私の場合、ピンポイントで腎臓の痛みを感じます。わごいちに来て自分の腎臓と向き合ううちに、感じられるようになったのです。おかげさまで腎臓が傷んでるな~、悲鳴上げてるな~と自覚できるので、不安にもならないし対処もできます。
ただ、私は腎臓が悪いけれど未だ頑固な胃下垂もあります。そして胃腸にガスがすごく溜まりやすいです。それからこれまでにたくさん服用してきた薬の副作用で、ろ過の働きをする肝臓や腎臓へかけ続けてきた負担が、今もまだ尾を引いてます。
私が抱える腎臓の痛みは、腎臓だけのせいではないのです。内臓全体が我慢に我慢を重ねた末の悲鳴なのです。
そうならないための普段からのケア……は確かに大事。じゃあケアするのは腎臓?それとも・・・・・
この本ではそのケアが簡単セルフマッサージということです。だけど揉むのは腎臓ではなく、腎臓のツボのようです。
腎臓を揉む
おなかの中の方にある腎臓を揉むのはかなり難しいです。そして、丁寧にしっかり傷んでるところをピンポイントで揉んでこそ、弱った腎臓は元気になっていきます。
最近ようやく私にも、腎臓が少しずつ分かってきました。そしてその触り方も。とてもナイーブで頑固な臓器です。実直に丁寧に、そして意図をもってほぐしていかないといけません。………おなかを揉むってそういうことですけれど。
それに先ほども書いたように、腎臓だけじゃないんです。腎臓を傷める原因が必ずあるのです。それを直さなければ腎臓だけを揉んで一時的に良くしても、一瞬でまた悪くなってしまうのです。(腎臓に悪影響を及ぼす原因とその予防については症例を参考ください→「慢性腎臓病(CKD)について」)
おなか全体、身体全体、その中の腎臓という部分。
何が大事って元気で働き者の身体です。内臓同士も助け合って、血管も筋肉も全部助け合って、はじめて私たちの体には健やかな血液が巡るのです。
おなかを揉まれてきて、おなかを揉み続けてきて感じさせてもらえるようになった、この感覚。
腎臓を揉まれる
院長先生に傷んだ腎臓を揉まれると本当に痛いです。ですがもうそこしかないという急所を掴まれた気持ちになります。
あぁ、でもそれは腎臓に限ったことではありません。傷んでる具合によって、それはどの臓器でも血管でも筋肉でも、常に急所を掴まれた気持ちになります。
おなかを揉まれるという行為は、おなかが活動をし始めるという感覚に似ているように思います。息を吹き返すというか、活き活きし始めるというか。
私も自分で痛い時は揉んだりします。でもそれはその場所が緩んだという感覚で、自分の腎臓を自分で揉みほぐすというのは本当に難しいと思います。
残念ながら、自分で揉むと全体が分からないのです。そもそも見えていないのかもしれません。院長先生でさえ、自分の体を整体するのは難しいと言います。
人の身体だから、人のおなかだから、人の命だから、畏れ多くもその全体と向き合う覚悟があってこそ見えるのかもしれません。
腎臓を揉むということ
腎臓に関心を持ってくれる人が増えるのは、いち腎臓弱者として嬉しくも感じます。
でもやはり腎臓はそう簡単ではありません。わごいちで8年やってもまだまだ腎臓を揉むのは難しいですから。それでも私は皆さんの生活を守りたくて腎臓を揉みます。
少しでもこの世の腎臓を元気にするため!に。

井上紙鳶
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