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コロナウイルス対策②自然免疫について

感染後のウイルスの仕組み

コロナウイルス対策連載2回目。1回目は人間が持つ「粘膜免疫」で感染を防御できるというものでした。今日は、その粘膜の防御を破って体内にウィルスが入ってしまった感染後について書いていきたいと思います。

 

まずはウイルスに感染し発症までに至るプロセスについて簡単に説明します。少し専門的になりますが、なるべく分かりやすく書いていきます。

 

 

ウイルスの中心には遺伝の情報をもつ「核酸」があり、そのまわりはたんぱく質の殼でおおわれています。このウイルスは、細胞内でしか増殖できません。

 

ウイルスが鼻や喉にすい込まれて粘膜に付着すると、細胞とつながって「核酸」を細胞の内部にどんどん放出します。このとき、白血球がウイルスを攻撃をします。白血球がウイルスに勝つと増殖はしませんが、負けると細胞の中で次々と子どものウイルスが作られていきます。

 

増殖した子どものウイルスは、細胞をやぶって外へ飛び出し、他の細胞とつながって、そこで子どものウイルスをどんどん生み出していきます。こうして、ウイルスが増殖され発病してしまいます。

 

 

自然免疫VSウイルス

ここでいう白血球の攻撃とは、「自然免疫」と言われる私たちが生まれつき持つ全身免疫の一種です。つまり、免疫の力がウイルスに勝って増殖を抑えられれば、発症を抑えられる可能性が出てきます。

 

今回の新型コロナウイルスと比較されるインフルエンザウイルスは、鼻やのどなどの上気道で増殖し、SARSウイルスは主に肺で増殖します。しかしコロナウイルスは、主に上気道で増殖しますが、肺でも増殖する場合があるのがやっかいなところです。

 

免疫力が低下している場合には肺での増殖を抑えることができず、肺炎などの重症化に発展する可能性が高いのです。

 

自然免疫がどの程度ウイルスが増殖した段階で勝つか、それによって症状は変わってくるのです。感染後の増殖をいかに素早く抑えられるか、発症前にウイルスを抑え込めるか、全てはそこにかかっています。

 

 

未知数の新型コロナ

コロナ感染症の特徴として、症状が軽い、もしくは症状がほとんど出ないという点がありますが、むしろ今はその症状が発現していない無症状感染者、つまり「不顕性感染者」がどれほどいるかということに怯えている社会状況になっています。

 

「不顕性感染者」とは感染により病原体が体内で増殖しても発病にいたらない状態の人を指します。言わば「感染以上、発症未満」といえば分かり良いでしょうか。「不顕性感染者」が感染を一気に拡大させるとの推測が人々の不安を駆り立てているのですが、実際のところその是非はまだよく分かってはいません。

 

しかし無症候の感染者のなかに、肺炎を発症した患者と同程度のウイルス量が検出された人がいたという指摘や、せきやくしゃみが発生していない状態で感染したと疑われる事例もあるようです。

 

コロナウイルスの感染対策は、この不顕性感染状態との戦いと言えます。

 

 

計り知れない自然免疫力

さて免疫の話に戻りましょう。人間には、先に書いた「自然免疫」ともう一つ、「獲得免疫」というシステムがあります。

 

「獲得免疫」とは、生まれつき備わっているものではなく、敵(抗原)に応じた闘い方を細胞が記憶し、次に同じ敵に出会った時にすぐに攻撃をしかけ排除することが可能になる仕組みのことを言います。ワクチンがその仕組みを活用した代表的な感染予防法で、いわゆる1回かかったら2回目はかかりにくい、というものです。

 

自然免疫と獲得免疫は、先天的に備わっているものと後天的に備わるものとに働きを分けて考えられています。しかし最近の研究で、自然免疫にも何らかの記憶のようなものがあることが認められ始めているそうです。

 

それは自然免疫が十分に強ければ、獲得免疫(ワクチンを想像するとわかりやすいかもしれません)の力を借りずに自然免疫のみでウイルスを追い出せる可能性もあるというものです。

 

また自然免疫を担う細胞は、微生物にあって私たちの細胞には無いさまざまな分子を認識する受容体(レセプター)をもっており、免疫反応をコントロールし強い免疫反応を起こす重要なしくみを持ちます。余談になりますが、がん免疫療法はそうした自然免疫の仕組みを活用するもので、自然免疫を活性化し、ひいてはがん免疫を活性化させることを目的としたものです。

 

 

コロナウイルスを克服するために

まだまだ計り知れない免疫の力。免疫細胞は血液とリンパ液に乗って、常に抗原(今回の場合はコロナウイルス)を探しながら処理をしています。

 

コロナウイルスという未知のウイルスに対し、私たちの医学は治療薬もワクチンもまだ開発されていません。「治療法がない」という現状では「感染予防」しか選択肢がない。行政はそう考え私たちに感染予防を求めます。これはもちろん当然の処置と言えます。

 

しかしながらその一方で、私たちの身体に備わる「免疫力」への関心が薄すぎます。これまで書いてきた、粘膜免疫、自然免疫といった働きにより、コロナウイルスを克服する可能性が高まるという事も私たちは心にとめておかなくてはなりません。

 

 

コロナウイルスは人類にとって未知のウイルスですから、まず問われるのは「自然免疫力」です。人類の歴史は常にMERSやSARSのような未知のウイルスや細菌によって脅かされてきました。それら脅威に対する治療薬はあくまでも免疫力というベースの上でその働きをするものです。つまり私たちの命を守る主役は「自然免疫力」なのです。

 

 

 

次回は、「粘膜免疫」「自然免疫」を高める具体的な方法を皆さんにご紹介します。

 

 

 

 

 

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井上紙鳶