潰瘍性大腸炎の克服法

寛解という問題

原因不明とされ、難病指定を受ける潰瘍性大腸炎は、その罹患者数を増やし続けています。原因と疑われる腸管内の免疫異常について研究は進んでおり、生物学的製剤や血球成分除去療法など、腸の炎症に働きかける効果的な治療法が確立され、これまでのようなステロイドや免疫抑制剤の副作用による炎症増悪の心配は減っているようです。

 

しかし、「なぜ免疫異常が起こるのか」その疑問の答えは見つかっておらず、寛解(かんかい)と言う一定時期症状が収まった状態と症状が酷く出てくる増悪の状態を繰り返すことが、罹患者をいつまでも不安にさせます。

 

生物学的製剤について

潰瘍性大腸炎は免疫システムに異常が起き、サイトカインという物質が過剰に生産されることにより大腸の粘膜に炎症を起こすものです。サイトカインとは免疫細胞の活性化や機能抑制に関わるもので、主に血液成分の一つである白血球から分泌されます。

 

生物学的製剤は、サイトカインの分泌を抑制することで炎症を作ることを防ぐものです。しかしながら、サイトカインは多種多様あり、どのサイトカインが過剰分泌しているかは人によって異なります。万人に同じ製剤が効果的とは限らないわけです。そうした個々に合わせた見極めと製剤適用が(主に海外で)研究されています。

 

しかしこの治療はサイトカインの過剰分泌を抑えるつまり、免疫作用の一部を薬によってコントロールするものです。こうした人為的な免疫コントロールが、どのような副作用をもたらすかについては未知数でしょう。またこの治療がサイトカインの過剰分泌と言う根本的な問題、つまり免疫異常自体を解決するものではないということも事実です。

 

血液成分除去療法について

血液成分除去療法とは一種の体外循環治療です。全血液を一時的に体外に取り出し、異常に活性化した白血球(顆粒球、単球、リンパ球など)を効率良く取り除き、炎症に伴う症状の改善をもたらすものです。

 

他の薬物療法に比べ、副作用が少ないのが利点とされています。寛解導入の効果は60~80%ということです。

 

薬による副作用が少ないという点においては好印象をもたらす治療法ですが、注意すべきは「寛解導入」という定義です。これは寛解する率ではなく、寛解に向かう兆しを得られる率ということです。わかりにくいので端的に言えば、「まず治療してみて効果が少しでも出る確率が60~80%である」ということで、それは「そのまま効果が出続け、寛解に成功する確率ではない」ということです。 

 

白血球を体内から除去するという人為的治療の対価としてこの定義と確率をどうとらえたらいいのか、判断に苦しむところではないでしょうか。

 

そもそもなぜ大腸に炎症が起こるのか

私たちは多くの潰瘍性大腸炎で悩む人を受けいれ、西洋医療とは違うアプローチでその克服に力を注いできました。

 

西洋医療においても、潰瘍性大腸炎の罹患者の腸内細菌は、一般に比べ種類や数の割合などが変化していることが指摘されていますが、これは注目に値する観察です。

 

世間一般では、潰瘍性大腸炎といえば大腸の病気として扱われます。これは病院でも同じです。しかしこの病気は、消化器の前工程である胃や小腸などの働きをも含めて統合的に体をみることが大事です。例えば胃の消化力が低下すれば、未消化の食物が大腸に負担を与え、結果として大腸に炎症を作ることになります。

 

そもそも、「なぜサイトカインが異常分泌されなければならないほど、大腸に炎症できるのか」という問いかけの視点をもつことで、この病気の見え方が変わってきます。

      

免疫異常を引き起こす原因とは

おそらく本当に必要なのは、なぜ免疫異常が起きるのか、という研究です。免疫異常が起きたから治療するだけではなく(もちろんそれも大事なことですが)、何が私たちの腸に免疫異常を起こすのか、そこを考え答えを見つけていくことが潰瘍性大腸炎の真の克服と言えるでしょう。

 

おなかを触っていると、腸炎の自覚症状がない人であってもほぼ100%に近い人に腸の炎症と癒着が見られます。そうした状態が長年蓄積し、ガスを溜め、腸内のあちこちで炎症と治癒が延々と繰り返されれば、それは一種の慢性腸炎状態と言えます。このような腸内に慢性的に炎症が存在すると、私たちの免疫システムは常時サイトカインを放出するような状態に陥ります。こうして免疫機能の異常が引き起こされる可能性が高まるのではないでしょうか。

 

少なくとも潰瘍性大腸炎と診断された人のおなかを揉み、地道に炎症や癒着を解消していけば、炎症はおさまりそれと同時に症状も消失していきます。いずれ確たるデータを取れればと願いますが、おそらくサイトカインの分泌が正常化していると思われます。

 

消化管全体からのアプローチが鍵となる

潰瘍性大腸炎の克服を目指すには、免疫異常の先にある大腸の炎症について把握することが大切です。つまり免疫自体が異常なのではなく、免疫が異常に働かされている、そういう解釈が適当なのではないでしょうか。

 

つまり潰瘍性大腸炎を解消するには、免疫機能にアプローチするのではなく(免疫機能自体は正常なのですから)、免疫機能を過剰に刺激する大腸内の炎症についての対処が基本となります。

 

また大腸の炎症だけでなく消化管全体を見て、大腸に炎症を発生させる原因の有無についても注意深い観察と適切な対処が鍵となります。

 

お困りの方はご相談ください。

 


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