わごいち院宝物語④龍画



 

風化してボロボロになった和紙をはがし、新しい和紙を下張りし、さあ、いよいよ2枚重ねの上張りをしていく。

 

問題はどんなデザインにするかだ。文字を書くか、絵を描くか。絵ならカラーにするか白黒にするか。なんでもいい。なんでもいいというのは、逆に難しい。

 

一年前の正月に、大きな龍の絵を描いた。巳年だったので、「巳」の字をもじった龍を描いた。

 

それがこれ。

 

書いてから気がつく。これは「巳」ではなく「己」ではないか。小学生の時、漢字をちゃんと勉強しなかったからこういうことになるんだ。ひとり呟いた。

 

まあともあれ、大きさ的にもちょうど良さそうなので、この龍を貼ることにする。

 

ところでこれは私がはじめて書いた龍の絵。令和6年4月2日とサインしてある。

 

もともと無地の灰色の床板だったのが、紙鳶さんが花瓶を倒して汚してしまったので、龍を描いてごまかした。そんなきっかけで龍絵が始まった。

 

龍のうちわ。私の龍は、風神・龍田大社さんの龍に感化されて書いているので、このうちわはきっと良い風を吹かせてくれると思う。

 

お気に入りの一作。雨雲の中を漂い動く龍。世の中の淀みを食べて浄化していく、私の龍のイメージ。

 

他にもいろいろな龍を描いている。別に画家でもないし、売り物でもないからとにかく好きに描いている。

 

 

さて、衝立(ついたて)の修理に戻ろう。

 

補強の下張りの上に龍の絵を貼り重ねる。

 

写真は余った紙を切り取っている所。ちょっと龍絵の方が大きかったけれど、上手く収まりそうだ。

 

さあ、貼れた。

 

紙が乾燥したら、透けて見える木の格子も見えなくなるだろう。

 

それにしても、この龍はこの衝立に入るべくして書かれたかのような収まりじゃあないか。ぎゅっと力を凝縮したような、それでいて外に飛び出してきそうな感じもする。

 

しかし同時に、なんだか薄っぺらいというか、物足りないような感じがするのもまた事実。

 

完成したと思ったけれど、見ているとどうやらまだ完成ではないような気がしてくる。まだ衝立に龍が追い付いていないような気がして、しかたがなくなってきた。

 

まだなんだ。乾燥したらこの龍にもう少し筆を加えよう。

 

次回で「わごいち院宝物語」完結。

 

つづく

 

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