おなかって知ってますか?
「おなかはおなかでしょ」「おへそのまわりのことじゃない?」「お肉がぷにぷにつくところでしょ。あーいやだー笑」「腸や胃のことでしょうか」
そうです。全部正解ですね。でもこれでおなかは全部じゃないんです。おなかってもっともっと広くて深いんです。そして大事な働きがたくさんあるんです。
そんなおなかについて、少し勉強しましょう。
これらは全部おなかを表す言葉です。(いくつ知っていますか?)
この他にも昔に消えていった漢字もあるかもしれません。例えばあかちゃんに「ポンポン痛いの~?」などと言うように、漢字にならなかったひらがなやカタカナなど、おなかを表す地方の言葉もきっと沢山あるでしょう。
そうやって考えてみると、一言で「おなか」と言ってもいろいろな表現方法があるんですね。こんなにたくさんの表現をもつからだの部位って他にないんじゃないでしょうか。
いろいろな表現があるということは、いろいろな見え方があるということです。それはつまりいろいろな働きがあるということです。
例えば「お腹」とは、おなかの表面を表します。つまりおなかの皮膚や皮下脂肪や腹筋などで、それらは中の内臓を守るカバーのような働きを持っています。
それに対して「肚」(ハラ)という言葉は、「月」と「土」がくっついていますね。月は肉体のことです。土は大地や土壌ですね。つまり「肚」は植物が水や栄養を取り込んだり、微生物が住み着いて成長を助けてくれる土のように、私たちに生きる力を与えてくれる存在という意味なんです。
また「五臓六腑」や「腑に落ちる」という言葉もあります。この「腑」とはおなかのことです。肚と同じく「月」に倉庫の意味がある「府」がくっついています。内臓の倉庫という意味ですね。
「胎」「孕」「妊」という漢字もあります。どれもハラと読みますが、これは新しい命つまりあかちゃんを産むことに関係する言葉です。命を育み育てるのもおなかの大事な働きです。
このように「おなか」とか「ハラ」という言葉には、いくつもの意味が隠されています。それら全部合わせて私たちは「おなか」と呼んでいるんですね。
こんな風に古来より日本ではおなかを大事にしてきましたが、医学的にもおなかの働きが注目されるようになってきました。
例えばお肌の状態が内臓の影響を受けていることも段々と分かってきています。
最近よく耳にする「腸活」。これは腸がただ食べ物を消化吸収するだけじゃなくて、からだの中に入ってきたウイルスやばい菌をやっつけてくれる「免疫力」という働きを持っていることがわかってきたんですね。
一昔前には、盲腸や胆のうや腎臓(二つのうちの一つだけ)などもあまり重要じゃないと考えられよく手術で取られてきたんですが、最近ではそれぞれ大事な働きがあるとわかってきて、なるべく残しておくようになりました。
「おなかって大事なんだ~」と西洋医学のお医者さんたちもわかってきたんですね。おなかは毎日黙々と私たちの命を守ってくれています。
おなかには他にもたくさんの面白い話があります。例えば胃下垂ひとつとっても、皆さんが知らない面白い?怖い?話がいっぱいあります。
そのあたりの詳しい話は、このホームページの他のページに書いていますからまた見てくださいね。
最後に一つだけ、日本に暮らす皆さんにぜひ知っておいてほしいことがあります。それはなぜ武士がハラキリつまり切腹をしたのかということです。
話が飛びますが実は英語にはおなかを表す言葉がありません。
「おなかが痛い」は、“stomach ache”つまり胃痛です。腸が痛くても肝臓が痛くても“stomach ache”、そのくらいしかおなかに関心がないのですね。
実際に世界中で日本人ほどおなかを様々に表現する民族は他になさそうです。それはつまりそれだけおなかを大事にしているということです。
ここまで書けばわかってきましたね。
なぜ武士はハラキリをしたのか。それはおなかが一番大事な命の中心と考えていたからなのでしょう。命を孕む場所であり生きていくための栄養を得る場所。大事な真ん中「おなか=御中」(これは三宅の当て字です)。
だからそこを絶つことが本当の命の終わりだとわかっていたんでしょう。昔の人は凄いですね。
おなかにはいろいろな働きがある。そして命の真ん中。
このようにおなかについて見方が変わり、興味を持つことから、心身の健康が変わり、意識と生き方が変わっていきます。
三宅弘晃
※イラスト『おなか美人ダイエット』より引用
三宅弘晃@おなか
~命はおなかに宿る~
大阪市中央区南久宝寺町4-4-5タケコウビル6階(わごいち)/7階(おなかの学校・整体アカデミー・千照館)