松下幸之助さん創業の家からやってきた衝立(ついたて)。つぎはぎ修理してきたけれど、もうさすがにごまかせなくなってきて、えいやと全部めくってみた。
そうしたら中から古い手紙や書き物の裏紙がでてきて、松下電器の歴史の生き証人だろうかとロマンが広がる。(ぼろぼろの紙でも置いておけばよかったと今更ちょっと後悔していたりする)
実は裏面は(どちらが表か裏かは別として)数年前に張替えをしている。素人が分からないなりに、元々の修繕方法を真似てやってみたのだ。
まず下紙に紙を継ぎあてて穴をふさいでみた。
さらに上紙を貼って完成。裾に少し綺麗な和紙をはってみた。シワは素人仕事のご愛嬌ということで勘弁いただきたい。
ここまでが数年前の裏面の補修。下に続くは今回の表面の全面張替えである。さあ、上手くできるかどうか。
衝立の内部は障子と同じようにサンが組まれている。全ての紙をサンからはがし、でんぷん糊を付けていく。
ちょうど余りの障子紙があったので、全体に霧吹きをして衝立に貼り付けていく。あらかじめ紙を濡らしておくことで、乾いた時に少し紙が縮んでピンと張りが出るのだ。なんだ障子貼りと全く同じ工程じゃないか。
あらかじめ大きめに切った紙を貼り付け、糊が渇く前に四隅の余りをカッターで切り取っていく。これも障子貼りと同じ。
ただし障子はこのまま乾かせば完成だが、衝立はもう一度同じことをする。つまり下紙の上に上紙を重ねてはるのだ。そうして破れにくいように強度をつけるのだ。
ただ下紙が渇くまで待たなくてはならないので、上紙は翌日の作業となった。
でもこれで終わりじゃない。実は大事な足がグラグラしているので修理をしなくてはならないのだ。
グラグラする左足(どちらが右か左かはさておき)をばらしてみると、黄色い丸印のところの木が折れてなくなっている。経年劣化というやつだろう。
調べてみると松下電器器具製作所(現パナソニックの起源)の創業は大正7年(1918年)という。いつ頃からこの衝立を使われていたかは知りようもないが、中の古手紙の文体などから推測するに少なくとも50年以上前に一度補修されているはずだ。そう考えると作られたのは60年以上前になるだろう。折れるはずだよ。
それにしても昔の職人さんはすごい。釘を使わず木が組まれている。私にはとても同じように再現する技術はないので、ちょっと心がとがめつつ、スクリューねじと電動ドリルを使って修理させてもらった。痛い痛いと幸之助さんが泣いていなければいいけれど。
ごめんなさい。
こちらは健在健康なままの右足。木は材になって新しい命を生きるといわれた西岡常一さんの言葉を思い出す。君はどんな歴史を見てきた?
こうして下紙を張り、グラグラの足の補修も完了した。あとは上紙を貼るのである。そして何より重要なのが、上紙をどうデザインするかである。
それについては既にアイデアがあった。一年前に描いた「あれ」がサイズ的にもぴったりだろう。レアな衝立にアレを貼ってみよう。
この話は次回に。(つづく)
三宅弘晃

