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わごいちの作り方⑬初出版『おなか美人ダイエット』

 十一月と言えば思い出すのは私の初書著『おなか美人ダイエット』。ダイエット本と言えば夏前が勝負なのに、色々あって・・・秋に出版しました。その結末やいかに・・・・なんて話をしましょう。

 

 開業して数年、メディアにゴッドハンドと騒がれるのも少々マンネリに感じてきた頃、出版をしようと思いました。私にとって本とは特別なものです。開業以来どんなに探しても「この人」という師に巡り合えなかった日々。どうにかして学びを深め、自己成長を推し進めたいと悩む中で救いの手を差し伸べてくれたのは数々の良書でした。その中でも宮大工西岡常一さんと、ヨーガの大聖者カリアッパ師は職人としても人間としてもゆるぎない指針となってくれました。この本たちに出会えなかったら今の三宅弘晃もわごいちもなかったことでしょう。

 

 本というのは素晴らしいですね。地球の裏側の人、遠い昔の人に出会えるのです。ドラえもんの「どこでもドア」と「タイムマシン」あれはまさに本。自分の必要な時に必要な教えを与えてくれます。だから私にとって本は特別であるし、本には恩義がある。恩義がある以上、私も他の人に助けを与えて、恩義に応えなくちゃならない。そう思うのです。

 

 幸いにして中経出版より本を出す話がきました。嬉しいな、頑張って書くぞと一回目の打ち合わせをしてみてビックリ。編集者はダイエット本を出したい、それも女性向けにイラストだらけの可愛いらしい本を作りたいというのです。こんなゴリラみたいな男にそんなことをいうのです。私は私で文字たっぷり、情報ぎっしりの本をイメージしていたのでこれには驚きました。

 

 とは言え、書籍の世界ではルーキーの私にとって、しかも出版不況の中で得難い話なのもたしか。色々悩んで、はじめからわがまま言うのは違うなと、大事な経験を積ませてもらう機会だなと、例え字数が限られていても大事なことを集約して伝えることはできるはずだと思いなおしたのです。

 

 それからは本当に色々と。女性向けの本という事で、原稿を書いては周りの女性たちやカフェの店員をつかまえて「どう?」「意味わかる?」「関心ある?」と聞いて回り、何度も修正を繰り返しました。最後はだんだん煮詰まってきて編集アシスタントの方と喧嘩もしました。「やっぱりやめる」と言う私を妻が止めてくれたこともありました。本は著者が一人で書くものと思っていましたが、実際には編集者、イラストレーターデザイナー、校正などたくさんの人が関わります。そういうことを一つ一つ学びながらの本作り。そして本当にいい本ができました。

 

 ただ、最後に大きな問題があったのです。肝心のタイトルがなかなか決まらなくて、編集者と散々にやりとりしました。もともと校了(原稿完成)が遅れていた上にタイトルで時間がかかり、発売時には秋風が吹いていました。街の女性たちはセーターにコートで、ダイエット本は片隅に追いやられていました。旬を外してはいけませんね。(つづく)

 

 

三宅弘晃