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わが初詩集『おなかの詩』刊行

文字にするとちょっとカッコいいブログタイトルですが・・・まさかの詩集を刊行しました。今日はすこしその話を紹介します。

 

できあがった詩集を手に取り読んで思ったこと、それは「やはりここに行きついたか~」です。とにかく私が20年以上向き合ってきた「おなか」というものをなんとかして形にしたいと絵をかいたり物語を書いたり、いろいろと無駄な?努力を重ねてきて行きついたのが、まさかの「詩」でした。

 

実は「詩」には少し、コンプレックスのようなものがあります。私は大阪外国語大学にどうしても入学したくて、一浪してなんとか入ったんですが、一年目の受験の敗因がこの「詩」だったんです。入試本番の小論文テストで不意になぜか詩が書きたくなって(中学の国語の授業以外に詩など書いたこともなかったのに!)本当にその時に私は気がくるってたとしか思えませんが、いきなり本番で詩に挑戦。結果的には何も書けず、白紙で小論文の答案を出すという結末・・・・もちろん結果は不合格でした。自業自得なんですが、そういう恨み?苦手意識?が詩にはあるんです。だからこの詩集は私自身まさか!なんです。

 

話を戻しましょう。

ここで1つ質問しますね。皆さんは「おなか」を知っていますか。もちろん知っていますね。では「おなか」をどう説明しますか。例えばアメリカ人に“What is Onaka?”と訊かれたら(日本語で結構ですので)どう説明するでしょう?これは意外に難しいのではないでしょうか。

 

日本人は「おなか」というものを概念として認識しています。しかし明確な定義はおそらくありません。腹部のこと?それとも内臓のこと?胃のこと?腸のこと?子宮のこと?「ハラがたつ」とはどこがどういう状態なの?こういう風に考えて行くと「おなか」って思うより懐が深い、そう思いませんか。

 

これが例えばアメリカ人では、私たちのような「おなか」の概念さえないようです。そもそもおなかに当たる英単語がないのです。おなかが痛いをアメリカ人は“a stomach ache”つまり胃痛と言う。胆のうが痛くても十二指腸が痛くても“a stomach ache”だそうです。これは日本語のおなかという概念がなく、内臓でおなかを認識しているということなんですね。

 

しかし日本人は胃、腸、肝臓など内臓単位でおなかを見ることもあれば、内臓や血液やリンパや腸内細菌やなんやらかんやらも全部ひっくるめて、「おなか」という見方もしている。さらには「ハラがたつ」「ハラに据えかねる」「腑に落ちる」など感情や思考に関することまでおなかに絡めるので、おなかの守備範囲は相当に広くて深いと言えますね。だから「おなかを一言で説明して」と言われても、その全てを語ることは実はとても困難なのです。

 

私自身これまで「なぜおなかを揉むのですか?」と人に訊かれたときにいつも困っていました。なぜならおなかを揉む理由を説明する為には、その前に「おなかとは何か」ということを語らねばならないからです。結局は内臓機能という解剖学的あるいは生理学的な説明をするにとどまるわけですが、本当はそれ以上の意味があることを私は気づきながら説明できずにいたわけです。そういう状況を打破したい、なんとかおなかの全貌を何かの形で表現したいと思って取り組んできて行きついたのが、この詩集『おなかの詩』です。

 

ここでまた少し大学時代の話にもどるのですが、私は大学時代に異様ともいえる感銘を受けた漫画があります。有名な手塚治虫さんの『火の鳥』です。

20歳ごろに人生で初めて『火の鳥』シリーズを読み進めたのですが、一冊読むたびにおなかの底にうごめく余韻が凄くて、それらを消化して次の巻を読むまでにかなりの日数が必要でした。何がそうさせるのか当時は全く分からず、ただ「ずーん」という余韻におそわれていたのですが、今その理由をようやく理解できるようになりました。あの漫画は「命とは何か。命はどこからやってきてどこへ行くのか」という、誰しもが人生のなかで一度は考え悩むテーマに、真正面からとことん挑んだ稀有な作品だということです。もちろん他にも命のテーマに挑戦する作品はあるでしょうが、あそこまでしつこくとことんくらいついているものは、それほど多くないと思います。だから以来ずっと「ずーん」という読後感が残り続けているのでしょう。

 

『おなかの詩』を作者である私自身が読んでみて感じたのは「そうか自分は手塚治虫さんと近しいところを追い求めているんだな」という再発見でした。命が宿り、育ち、産み、働き、支え、滅する存在、概念でありながら物質的かつ精神的に確かに存在する「おなか」に触れ、感じ、挑んできた私なりの生命観を表現したのだと納得したのです。

 

どのように感じられるかはお任せします。できれば頭も心もなるべく働かせないで、そのままを折々で読み返し楽しんでもらえればと思います。わからなくていいです。わたしもわからないので。笑

 

三宅弘晃

 

 

『おなかの詩』お申し込みはこちらよりお願い致します。

https://www.wagoichi.com/director/onakanouta/

 

 

 

 

おなかの詩
おなかの詩